「虎よ、虎よ!」アルフレット・ベスター著 ハヤカワ文庫

以前読んでさほど面白いと思わなかったのですが、どうも気になり再読してみたらとても面白いと感じました。

それが今回読んだ「虎よ、虎よ!」です。

d0063706_3224931.jpgカバーイラスト・生瀬範義
となっております。
いかにもSF冒険物という感じです。

1956年に書かれた本ですが、全く古さは感じません。
逆に新しさを感じるから凄いです。
で、話は、25世紀を舞台とし、ジョウントという身体移動いわゆるテレポーテーションが発明された時代です。
そして、木星外惑星の住民と内惑星の住民は戦争を引き起こしております。

その時、火星と木星の間で破壊された輸送船「ノーマッド」の気密室に唯一生き残り、定期的に酸素ボンベを交換しに外に出る以外閉じこもって170日間生存し続けている男ガリバー・フォイルが、たまたま通りかかった船「ヴォーガ」にやっと助けられるのかと思いきや無視されるところから始まります。

その時、自分を見捨てた「ヴォーガ」に対する復讐心が燃え上がり、その復讐心のみで壊れた
「ノーマッド」を何とか動かし復讐の旅が始まります。

ところがいきなり火星木星間の小惑星帯にある野蛮な科学者集団の人工惑星に捕まり顔に虎の刺青をされてしまいます。
しかし、そんなことで復讐心の火は消えません。無理やり人工惑星の一部である宇宙船を動かし惑星から引き剥がして脱出。
地球に向かいます。
しかし、「ヴォーガ」を見つけ破壊しようとしたところを捕らえられてしまいます。
捕らえたほうは違う意味でこの主人公に興味を持ち始めます。
宇宙船「ノーマッド」に積まれていた莫大な量のプラチナと謎の物質パイアに興味を持ってその船のありかを聞き出そうとしますが、主人公はどんな拷問にも口を割らず、「ヴォーガ」に対する復讐心のみが心を収めております。

そして洞窟内の監獄へ送られる事に。

前半は主人公は短絡的に復讐心のみで突き進んで、しかも、船である「ヴォーガ」に対する復讐の事しか頭にない状態。しかし、行動は上手くいかず、逃げる事で精一杯の状態。

その監獄を若い女性と共に脱出し、「ヴォーガ」に対する復讐というよりもその乗組員に対する復讐を考えるべきだと教えられます。

そして、何とか宇宙船を確保し「ノーマッド」に詰まれた荷を取りに再び宇宙へ旅立ちます。

その復讐心はとてつもなく強く、その一直線さが気持ちいいです。

「ノーマッド」の荷を何とか回収できたと思いきや追っ手が追跡しており、荷は回収できたがパートナーの女性は追っ手に囲まれ荷をあきらめないと回収できないと判断したとたん、ジェット噴射で追っ手と女性もろとも吹き飛ばし脱出します。

何よりも復讐が最優先で荷は復讐にはなくてはならない資金なのです。

そして数年後、地球にサーカスの一団が派手に到着します。その団長は超大金持ちで調子のいい人気者であります。

実はこれが主人公の化けた姿で、いよいよ復讐に取り掛かるため戻ってきたのです。

顔の刺青はなくなり身体改造して一時的にとてつもないスピードで動く事が可能となっております。

中半は主人公が復讐すべき相手を探し回る過程が描かれます。
腐敗しきったローマのスペイン階段や世界のあちこちにジョウントして飛び回ります。

そして、復讐すべき相手を知った主人公は・・・

後半は復讐ではなく違う次元へ行ってしまいます。

ラストは2001年宇宙の旅のように終わります。
しかし、これは2001年宇宙の旅よりも10年以上にかかれております。

単純な話と思いきやラストは奥深く、理解するのが困難です。
描かれる世界は猥雑でイってしまっているようなところもチラホラ。

この世界はいったん引き込まれると病みつきになる気がいたします。

火星を精神的に支配しているサン・ミッシェルに住む70歳の子供や、外惑星から放たれたミサイルがニューヨークを火の海にしてその姿を赤外線しか見ることのできない女性の視覚描写の美しさ。等々・・・

普通じゃない世界が気味悪くも美しく描かれております。

文体も面白いです。
d0063706_4202154.jpg日本語訳の本ですが後半の数ページに写真のようなタイポグラフィーの嵐があります。
はまるとかなりはまる本です。
しかし、人によっては受け付けないと思います。

私がSFを読むにあたって参考になるのがハヤカワ文庫のSFハンドブックです。

d0063706_4323478.jpgもう10年以上前に買ったので現在あるかわからないですが、SF興味を持ったらこのハンドブックはお薦めです。有名作品の簡単な説明が数多く出ており参考になります。

オールタイムベストも紹介されており今回の「虎よ、虎よ!」は7位に入っております。










d0063706_4353465.jpg

1位の「夏への扉」は明るく気持ちよく読みやすく内容はバック・トゥー・ザ・フューチャーで作者はハインラインです。他には「人形つかい」を読みましたが難しい解釈等必要なく単純な娯楽作品として読める点で好感はもてます。いかにもアメリカ的という感じです。

2位の「幼年期の終わり」は「2001年宇宙の旅」のと同じ作者で私の1位でもあります。始め読みづらいですが、その迫力と想像を超えるスケール感は段々のめり込ませ、ラストはとてつもなく衝撃を受けました。現在は地球の幼年期で悪魔の姿をした宇宙の使者が巨大な円盤で都市上空に滞在し人類を次の段階へ導きます。なぜ悪魔の姿なのか?次の段階とは?読めばわかる様になっております。スピルバーグに映像化してほしいと常々思っております。
逆に「2001年宇宙の旅」の映画を観て理解できない場合は同時進行で書かれた本の2001年宇宙の旅を読むと解りやすく書かれております。

3位の「ファウンデーション」は読んでおりませんが、原作はアシモフで、映画「アイ・ロボット」の原作者でトレビアの泉のオープニングにいつも紹介されている人です。
他の作品を読んだ事ありますが、読みやすく引き込まれる話が多いです。はずれがなさそうです。

4位の「アルジャーノンに花束を」は超有名ですね。しかし、私は本は持っているけど未だに読んでおりません。確かに面白そうなのですが。

5位「火星年代記」は今一番読みたいSFです。昔ドラマをやっていたのをうっすらと覚えておりますが、今になって読みたい気持ちが強まっております。文体が美しいとの事。

6位の「デューン」も映画になっておりますが読んでおりません。

8位の「リングワールド」はスケール感が凄いです。だいぶ前に読んだのでほとんど忘れましたがそのとてつもないスケールの世界を冒険する面白い話でした。

9位「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も「ブレードランナー」の原作として有名ですが読んでません。原作者ディックの他の作品は何冊か読んで面白いのが多いですが、難しくて解らないのもいくつかありますので作品によって好き嫌いが出てきそうです。

10位の「ソラリスの陽のもとに」は私のお気に入り映画の一つの「惑星ソラリス」の原作。これは映画のインパクトが強くあの映画の中の世界が好きなので本も読んだのですが少し忘れてしまっております。ほとんど映画と同じなのですが所々違っていたような。もう一度読み直してみようかとも思っております。映画はもう10回くらい見ております。始めは受け付けませんでしたが、あの映画ははまると本当にはまっていしまいます。

このベスト10は読んで外れはないと思います。

とこの外この本では様々なSF作品が紹介されておりますので、興味ある方はまずこの本を購入する事をお薦めします。
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by yururitositarou | 2005-12-31 11:12 |
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