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期間限定公開短編集ダーク第106話「三年C組市川先生」

短編集ダークから、こちらに新作期間限定公開です。

短編集ダーク本編は下をクリックでケータイ小説で読めます。



短編集ダーク





期間限定公開短編集ダーク
第106話「三年C組市川先生」



ちゅりるば小学校に勤務する市川先生は今年で三年目の若手の女性教師です。


担当は三年C組ですが、前任の三十代の男性教師が鬱病(うつびょう)で来なくなったため、昨年の秋からという中途半端な状態でこのクラスを受け継ぎました。


「前任の先生はいい先生だったけど。その分私ががんばっていかなくちゃね」


持ち前の情熱と子供好きな性格を発揮して真剣に取り組みましたが、前任の先生を鬱に追い込んだ親と生徒達のわがままに振り回された上、ほっと一息つくことも許されない勤務状況に日を追うにつれて心身ともに弱っていきました。


まだ慣れていない点と真面目さがあだとなり、給食の時間も採点し、休憩時間も準備や採点、生徒のわがままの付き合いにつぶされてろくにトイレに行く時間も持てません。


「これじゃ、膀胱炎(ぼうこうえん)になっちゃうわ」


致し方なく学校帰り、深夜まで営業しているスーパーで、老人用オムツを購入し、同時に買った冷凍食品を夕食にいたしました。


夕食といっても、すでに十一時を過ぎており、時間がないのでさっとシャワーを浴びてから、食事をしながら作文の採点です。


しかし、ニュースも見ないといけないので食事を取りながら、採点し、テレビでニュースを見る作業を同時進行しなければいけません。


時計は十二時を回っております。


「ああ、この時間、どこの局もニュースやってないのよね。ケーブルテレビだったらやってるけどそんなの設置する余裕なんてないし、まったく貧乏残業者に冷たい世の中よね。テレビからも見放され、ああ、時間がない。けどニュース知っとかなきゃ馬鹿にされちゃうし、新聞だと採点しながら見れないし、そうそうラジオがあるわね」


で、市川先生はラジオを聴きながら採点し、食事を取っておりますと


”中国産冷凍食品に殺虫剤が混入!ラジオの前の皆さん、ご注意ください!食べてはいけない品目は…”


「うげっ、もろ、私が今食べているやつがそうじゃない。でも、なんともないし、そんなことに騒いでいる暇なんてないわ。この作文採点と感想をちゃんとつけないと親から文句言われるからね。毒なんかより、生徒の親のほうが怖いから。いっそのこと毒が入っていて死んだ方が楽だわ。まあ、そんなこと気にする余裕なんてない。さあ採点採点」


ラジオでは識者のコメント


”これを機会に皆さんも料理するようになればよろしいと思いますね。最近の若い方たちは、時間がないからって料理しない方が多いようですが、甘いですね。昔は時間がなくっても料理いたしましたからね。特に親は料理している姿を子供に見せることこそが、教育になると思います”


「そ、そんな…、なんてひどいことを言うの!教師という立場上、私も自ら料理しないと親たちから何言われるかわからないじゃない。ああ、明日から手料理もするとなると睡眠時間が一時間少なくなる。毎日四時間のところ三時間になっちゃう。セレブ識者なんて、私みたいな貧乏暇なし女なんて相手にしてないのね。ああ、ラジオからも見放されてる。私って何!ああ、もう二時過ぎだ。採点がやっと折り返し地点。この子の親はうるさいからちゃんと感想書かなきゃクレームきちゃう。ああ、この子の感想に三十分かかっちゃうわ」


市川先生が、採点を終えたのは朝の五時、影響ある識者の発言により、朝から冷凍食品を食べることが親たちにばれると、どんなクレームが来るかわからないので、食事を作ってから寝る計画に変更すると、すでに夜が明けておりました。


市川先生は睡眠時間すら取ることも許されない状況に追い詰められ一週間後の夜、採点しながら意識が朦朧(もうろう)としていきました。


「ああ、もうだめ。でも、採点をちゃんと終えなきゃ親たちが文句言ってくるし…、ちゃんと料理作らなきゃセレブ識者から白い目で見られるし…。なんで、真面目に働いている私を追い詰めるの!結局みんな、自分が他人から尊敬の眼差しで見られたいだけなんじゃないの?自分のレベルを上げることだけなんでしょ!そんな余裕もない私みたいな存在なんて結局うまく使えるアイテムにしか思っていないんじゃないの?RPGにはまる子供達と一緒じゃない!料理つくる時間があるなら採点とクレーム処理手伝ってよ!ああ、今日オムツ換えていないからもれてきちゃった。換えなきゃ。でも、そんなことしている間に採点する時間がなくなっていく。ああ、なんだか苦しい。心臓が…。寝たら親たちからクレームの嵐になっちゃう、ああ、でももうだめ。ああ、オムツもびちょびちょ。こんな姿で死にたくない。でも、セレブや識者と違って私みたいなのが死んでも世の中なんとも影響しないわね。でも、死にたくない!えっ、わがままだって?甘い考えだって?なんでみんな私を追い詰めるの…」






三年C組は過労死した市川先生に代わって、新たな先生が。
「前任の先生はいい先生だったけど。その分私ががんばっていかなくちゃね」


新たな先生は、これから、わがままな生徒の相手と親たちの冷たい視線とクレーム攻撃で、鬱病か、過労死か、生き残ってもセレブにもなれず短命に終わる人生が始まったことも知らずに、張り切って教室へと向かっていきました。



「三年C組市川先生」
終わり
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by yururitositarou | 2008-02-11 18:52 | サイト内小説

最近書いた短編集

↓最近書いた短編集です。↓

携帯小説サイトに掲載です。




短編集ダーク



ゆるり徒思太郎でなく、月夜六九名義(同一人物)です。

ややこしいですね。
下手で暗い内容ですが、短いので暇つぶしによろしくどうぞです。


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by yururitositarou | 2007-01-26 20:30 | サイト内小説

じゅん君の桜

マイ・サイト広告です。
サイト内から短編一部抜粋しました。
児童文学です。
詳しくは左記murmur of shineに掲載してあります。

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春 がきたよ

あたたかい 春 だよ

春 がきたら、小とり たちの元気なおしゃべりが、きこえてきたよ

お花 がさいて、ちょうちょう があつまってきたよ

杉の かふん も なかよく とぶよ

ももがさいたら 桜もさくよ

桜の色は ももの色 でも、もも じゃなくて 桜だよ

桜は桜 さくら色

きれいなきれいな ピンク色

そして、じゅん君の おうちのそば にも桜がさいたよ

さいたさいた 桜がさいた



そんな春のお天気の日

じゅん君はおかあさんと桜を見にいきました。

じゅん君のおうちのそばの こうえんです。

「わぁい、さくらだ さくらだ きれいだな」

じゅん君はこうえんの大きな桜の木をみておおはしゃぎです。

桜の木のまわりをはしったり

おちてくる はなびら をおいかけたり

おおいそがしです。

おかあさんもそんなじゅん君をみてニコニコ顔。

そして、じゅん君は桜の木にだきついて上をみあげました。

あおいそらの中にきれいなピンク色の桜がひろがっています。

じゅん君はそこまでのぼってみたいとおもいました。

でも、じゅん君は小さいおとこのこですので、

のぼることができません。

しかし、おもいきって、ちかくにある桜のえだに とびつきました。


ボキッ!


あらたいへん、じゅん君の たいじゅう で桜の えだ がおれてしまいました。

じゅん君は なにがおきたかわからずに

おどろいていると

おかあさんが、あわててはしってきました。

「あらあら、じゅんちゃん だいじょうぶ?」

「うん だいじょうぶだけれど 桜がとれちゃった」

「まあ、かわいそうに じゅんちゃんの 

たのしいきもちもわかるけれど 桜さんもかわいそうね」

「桜さん いたいのかな?」

「いたいけれど がまんしてるわ」

「桜さんごめんなさい」

「この桜さんは じゅんちゃんの 生まれる前からここにいるの

そして じゅんちゃんを みまもってくれているの だから、おねえさんなのよ」

「えっ、おねえたん?」

「そう、おねえさん だから、じゅんちゃんも これからはやさしくしてね」

「うん、おねえたん ごめんなさい もうやりません だから、これからもあそんでね」

すると桜のおねえさんがやさしくわらってゆるしてくれた気がしました。


それからというもの じゅん君は 桜の木をおねえさんとおもって

まいにちみにいき その下であそんだり もたれかかっておひるねしたり

そして、ほんとうのおねえさんとおもって桜のことをだいじにしてあげました。


そんなある日の夕方です。

じゅん君が桜のおねえさんにあいにいくと

そのまわりにはサラリーマンのおじさんたちやおねえさんたちが

あつまってにぎやかにおはなししておりました。

じゅん君は桜のおねえさんのそばにいきたいけれど いけなくてさみしいきもちではなれたところでかくれてみておりました。

サラリーマンのおじさんたちやおねえさんたちはなにやら桜おねえさんの下でのんだりたべたりしているようです。

「はやく桜のおねえたんからはなれてくれないかな」

じゅん君はおちつかないきもちでようすを見つづけました。

しかし、いつになってもかえらないどころか

ますますにぎやかになっていきます。

そのうちひとりのおじさんはネクタイをあたまにまいて歌いながらくねくねとおどりだしました。

するとまたひとりのおじさんはたちあがって桜のおねえさんの前に立つとオシッコをしはじめました。

桜のおねえさんにオシッコをかけているのです。

「おねえたんになんてことを」

じゅん君は桜のおねえさんがひどいことをされているのを見てとびだしてたすけにいきたいとおもいました。

でも、おじさんやおねえさんたちはみんなこわい目をしていたので、なかなかでていくゆうきがわきません。

さらにおじさんのひとりが枝にとびついておってしまうと、おねえさんのひとりにわたしました。

おられた桜の枝をもらったおねえさんは耳とかみのけの間に枝をはさんで、はしゃいでおります。

それだけでもひどいのにまだまだつづきました。

ネクタイおじさんはいきなり口をおさえたかとおもうと口の中のものを桜のおねえさんにむかってはきだしてしまいました。

桜のおねえさんはさらにきたなくよごれていきます。

また、ひとりのおじさんはこうふんして桜のおねえさんをけったりなぐったりそれはひどいものです。

おねえさんたちものってきて、桜のおねえさんにくちべにでかおをかいてわらったりしております。

「おねえたん・・・」

かなしみのあまりじゅん君はきょうふもわすれてとびだしていきました。

「僕の桜ねえたんになにをするんだ!」

しかし、おじさんやおねえさんたちはとろんとした目でじゅん君をみるとゲラゲラとわらいだしました。

「ぼうやこんなにおそく であるいちゃいけないよ、さあ、こどもはかえったかえった」

ゲラゲラゲラ

ぶきみなわらいです。

じゅん君までもばかにされてしまいました。

それでも、じゅん君はゆうきをだしました。

桜のおねえさんのまえに立ってりょううでをひろげてなきながらいいました。

「おねえたんにちかよるなー」

なんといってもだいじなだいじな桜のおねえさんにこれいじょうひどいことをさせてたまるかというきもちがつよかったのです。

すると、おじさんやおねえさんたちはあきらめたのか、つまらなそうなひょうじょうをして、もんくをいいながら、かえりはじめました。

さいごのおじさんはかえりぎわ、桜のおねえさんに ぺっ、とつばをはきかけました。

じゅん君はりょうてをひろげながらりょうめからたいりょうのなみだをながしました。

おじさんたちがいなくなると 桜のおねえさんのほうをふりむいてみました。

桜のおねえさんはきたなくよごれ泣いているようにみえました。

じゅん君も泣いています。

しかし、桜のおねえさんをきれいにもどしてあげなければと、あしもとにいくつもおちているビールびんを手にもち こうえんのすいどうで水をくんでなんどもなんども桜ねえさんにかけてよごれをおとしてきれいにしてあげました。

しかし、けられたあとなどはきずとなってきえません。

そのとき、おかあさんとおとうさんがはしってきました。

「じゅんちゃーん」

「じゅーん」

「ママ、パパ」

じゅん君はおかあさん、おとうさんのもとにはしっていきました。

そして、だきつくといいました。

「ぼく、おじさんたちにひどいことされていた桜ねえたんをたすけたよ、でも、桜ねえたん、元気がないよー」

おかあさんはやさしくいいました。

「じゅんちゃん、えらいね、きっと桜ねえさん、じゅんちゃんにかんしゃしてるよ」

おとうさんもじゅん君のあたまをなでながらいいました。

「じゅん、おまえはえらいぞ、こんどはおとうさんもいっしょにまもってあげるから、なにかあったらよぶんだぞ」

そして、じゅん君とおかあさん、おとうさんは桜のおねえさんのところへいって、やさしくなでてあげました。

じゅん君がみあげると桜のおねえさんは月あかりにてらされて、きれいにやさしくほほえんでみえました。


しかし、よくじつ、じゅん君がおかあさんおとうさんといっしょに桜のおねえさんのところにいくとピンクの花はほとんどおちてしまって元気なくみえました。

よくじつ、そしてまた、よくじつと桜のおねえさんはげんきがなくなっていくようでした。

そして、きせつ がかわっていき 冬がおとずれると 桜のおねえさんはとうとうかれてしまいました。

もう、もとの うつくしさ にもどらなくなったのです。

じゅん君がはなしかけても、へんじがかえってこなくなったのです。

そして、桜のおねえさんはこうえんからいなくなることになりました。

じゅん君はなきながらおわかれしました。

しかし、じゅん君は桜のおねえさんのさいごの声がきこえたようなきがしました。

おかあさんの声かとおもいましたがよこにいるおかあさんは、口をもぐもぐうごかしているけれど閉じたままなので、やはり桜おねえさんの声だとおもいました。

「じゅん君、いままでありがとう。もう私はいなくなるけど、きっと生まれかわって、じゅん君のそばにあらわれるわ。そのときはじゅん君をしあわせにしてあげるから、まっていてね」

そして、桜のおねえさんはトラックにのせられてさっていきました。

「さようなら、おねえたん。ありがとう、おねえたん。おねえたん、おねえたん、おねえたん・・・」

じゅん君は さっていった桜のおねえさんのほうをみながら なみだをながしました。

すると横にいたおかあさんもなみだをながしながらいいました。

「じゅんちゃん。桜のおねえさんの声、おかあさんにもきこえたわ。きっときっともどってきてくれるよ。たのしみだねじゅんちゃん」

じゅん君は桜のおねえさんがさっていったかなしみでないておりましたが、

おかあさんにえがおをみせてうなずきました。


そして、しばらくするとあたらしい桜の木がうえられました。

じゅん君はおかあさんとおとうさんといっしょにみにいきました。

まだ小さな小さな桜の木です。

まだ、花はさいておりません。

「桜おねえちゃんがうまれかわってきてくれたんだ」

じゅん君は楽しくなり、この桜をだいじにみまもりました。


そして、なんにちかすぎたある春の日のことです。

じゅん君に いもうと ができたのです。

桜ではなくておかあさんからうまれた本当のいもうとです。

かわいいかわいい女の子です。

そして、おとうさんとおかあさんはこのいもうとに「桜」と名づけました。

じゅん君は桜おねえさんがいったことをおもいだしました。

「じゅん君、いままでありがとう。もう私はいなくなるけど、きっと生まれかわって、じゅん君のそばにあらわれるわ。そのときはじゅん君をしあわせにしてあげるから、まっていてね」

そう、きっと桜のおねえさんは「桜」として じゅん君の前に生まれかわってきてくれたのかもしれません。

そして、じゅん君はそんな「桜」をいもうととしてだいじにだいじにめんどうみました。

そのとき、こうえんではあたらしい桜の木が花をさかせ、ピンク色につつまれてしあわせそうにわらっておりました。
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by yururitositarou | 2006-08-08 20:00 | サイト内小説