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映画「ミュンヘン」見てきました。

映画「ミュンヘン」見てきました。

1972年のミュンヘンオリンピックでイスラエル選手団がパレスチナゲリラに全員殺されてしまった事を受け、イスラエルの機密情報機関モサドが暗殺にたずさわったゲリラのメンバーに対し報復するためのチームを組織します。
主人公はその報復メンバーのリーダーで何人かは報復しますが、結局は仲間も殺され自身も相手にとっての報復の対象となってしまいます。
そして、主人公はこの限りのない報復合戦は真の平和にはなりえないと悟ります。

この件について私自身は口出しする身分ではありませんが、実際にこういう現実があることは悲しい限りです。それも現在も続いているなんて。

この映画でスピルバーグは相手側のアラブ系の人たちにも人間性を与えて描いており、その勇気と気迫に圧倒されます。

で、話の内容以外に気づいた事。

映画は1972~3年を舞台としておりますが車といい自然とその当時の雰囲気が描かれているのも見所です。

主人公が自身が相手にとっての暗殺の対象となったと感じ、自分の部屋でベットや電話などに爆発物などが仕掛けられていないか焦りながら調べる場面がありますが、不思議とカーテンは開けっ放しで外から丸見えじゃないのとそっちにドキドキします。
アメリカ映画で古くは「裏窓」、最近だと「スクリーム」などでもそうですが狙われているのにカーテン開けっ放しというのがよくあり気になります。多分、向こうの習慣なのでしょうか?不思議です。

前半、ビーチで主人公がこれからする仕事のメンバーなどについて説明を受ける場面がありますが、無頼漢という字幕の時にチャールス・ブロンソンという言葉が聞こえたような。
真偽は定かではありませんが、愛妻家チャールス・ブロンソン=無頼漢はちょっと可哀想なような・・・逆にかっこいいのかなぁ。

世界は厳しい状況に置かれている人々が多くいるのに日本人は平和ボケしてだめだと思うような気もしますが、この平和ボケが全世界に広がった方がいいような気もします。
生ぬるいのがだめだというよりも世界に馬鹿にされても、これを守る事も大事かも。でも、安全な状態にいるから言えることなのでしょうね。

映画としては社会派として充分見ごたえがあります。

銃というものが本当に恐く空しく感じます。

平和に映画評などしている事に馬鹿らしさも感じてきます。でも、馬鹿らしい平和ボケを守るのも大事かなぁ。
平和に暮らして悲しみに浸る人々に責任感も持たず何もできない自分に空しさを感じます。でも、無関心で見ないより見て少しは考える方がましかな・・・

上記のように自分の心の弱さ、無力さを感じ、不安定で逃げ腰な心境になります。


こういう映画が好きな人はコスタ・ガブラスの「ミッシング」「ミュージックボックス」アンジェイ・ワイダの「大理石の男」などもお薦めです。他にも沢山あると思いますが・・・

是非、多くの人に観てもらいたい(子供に対する優しい目、ツインタワーが最後に映るなどスピルバーグくささがありますが気になりません)ものです。
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by yururitositarou | 2006-02-20 19:48 | 映画

「夜市」恒川光太郎著 角川書店 1200円

d0063706_2011240.jpg友人のMAX氏にすすめられ読んだのですが、一気に一日半で読んでしまいました。読む速度が遅い私がです。 去年末に読んだのですがなぜか今頃感想です。

で、どういう話かと言うとホラーというよりも幻想的な夢の世界。

子供の時にみた怖い夢のような世界が展開し懐かしいような感覚を味わえました。

タイトルの「夜市」の他に「風の古道」が収録されております。

「夜市」は第12回日本ホラー小説大賞を受賞。確か直木賞にも候補にあがっておりました。

夜市は人間界の裏側にある妖怪たちの世界の市です。

そこでは様々な物が売られておりますが、そこから抜け出すには何かを買わなければなりません。買うといっても石が何億もしたりととうてい買えるような物はないのですが、なんでも売っております。

主人公は小さい頃、弟と夜市に紛れ込んでしまい、出るに出られなくなり弟を人売りに売って野球の才能を手に入れ人間界に戻る事ができました。

人間界では弟は以前から存在しない世界となっております。

甲子園までいくほどの才能は手に入れましたが弟に対する罪悪感が出てきまして大学生になった頃、弟を取り戻しに再び夜市へ行く事にします。それも、知り合いの同級生の女の子を連れて。

果たして、どのような方法で弟を取り戻すのか、夜市から出るには弟を見つけ購入しなければなりません。
しかし、持参金は数万円。こんなもんで億単位で売買されている夜市にいって、弟とともに戻ってこれるのか。という話で、最後まで引き付けます。

読後も不思議な余韻が残る作品でした。

もうひとつの「風の古道」も捨てがたいです。

こちらもやはり人間界の裏側の世界に子供二人が入り込んでしまう話ですが、白昼の悪夢のような懐かし恐い世界が展開します。

入り込んだはいいがアクシデント続出で出るに出られない状態の中、その世界を旅する人間の若者と旅をします。

私としてはこちらの方が恐くてインパクトあったような気もします。

なんとなく喉が渇いてくるような気になる話です。

簡単に感想をあげると

独自の世界を味わえます。
懐かし恐い感覚を味わえます。
読みやすいのに文学的です。

ということでなかなか面白恐く、幻想的体験をする事ができました。

作者独自の世界が確立されております。
しかし、以前どこかで見たようなデジャブな世界で話の内容以外の部分で感じさせる不思議な感覚を味わえました。

調べつくした小説もいいのですが、こういう不思議な感覚を味あわせてくれる幻想文学もなかなかいいものです。


装丁:片岡忠彦と書いてありました。
金魚は出てこないですが、話の雰囲気が充分感じられる幻想的な静けさが漂ういい表紙だと思います。
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by yururitositarou | 2006-02-06 20:04 |