「夜市」恒川光太郎著 角川書店 1200円

d0063706_2011240.jpg友人のMAX氏にすすめられ読んだのですが、一気に一日半で読んでしまいました。読む速度が遅い私がです。 去年末に読んだのですがなぜか今頃感想です。

で、どういう話かと言うとホラーというよりも幻想的な夢の世界。

子供の時にみた怖い夢のような世界が展開し懐かしいような感覚を味わえました。

タイトルの「夜市」の他に「風の古道」が収録されております。

「夜市」は第12回日本ホラー小説大賞を受賞。確か直木賞にも候補にあがっておりました。

夜市は人間界の裏側にある妖怪たちの世界の市です。

そこでは様々な物が売られておりますが、そこから抜け出すには何かを買わなければなりません。買うといっても石が何億もしたりととうてい買えるような物はないのですが、なんでも売っております。

主人公は小さい頃、弟と夜市に紛れ込んでしまい、出るに出られなくなり弟を人売りに売って野球の才能を手に入れ人間界に戻る事ができました。

人間界では弟は以前から存在しない世界となっております。

甲子園までいくほどの才能は手に入れましたが弟に対する罪悪感が出てきまして大学生になった頃、弟を取り戻しに再び夜市へ行く事にします。それも、知り合いの同級生の女の子を連れて。

果たして、どのような方法で弟を取り戻すのか、夜市から出るには弟を見つけ購入しなければなりません。
しかし、持参金は数万円。こんなもんで億単位で売買されている夜市にいって、弟とともに戻ってこれるのか。という話で、最後まで引き付けます。

読後も不思議な余韻が残る作品でした。

もうひとつの「風の古道」も捨てがたいです。

こちらもやはり人間界の裏側の世界に子供二人が入り込んでしまう話ですが、白昼の悪夢のような懐かし恐い世界が展開します。

入り込んだはいいがアクシデント続出で出るに出られない状態の中、その世界を旅する人間の若者と旅をします。

私としてはこちらの方が恐くてインパクトあったような気もします。

なんとなく喉が渇いてくるような気になる話です。

簡単に感想をあげると

独自の世界を味わえます。
懐かし恐い感覚を味わえます。
読みやすいのに文学的です。

ということでなかなか面白恐く、幻想的体験をする事ができました。

作者独自の世界が確立されております。
しかし、以前どこかで見たようなデジャブな世界で話の内容以外の部分で感じさせる不思議な感覚を味わえました。

調べつくした小説もいいのですが、こういう不思議な感覚を味あわせてくれる幻想文学もなかなかいいものです。


装丁:片岡忠彦と書いてありました。
金魚は出てこないですが、話の雰囲気が充分感じられる幻想的な静けさが漂ういい表紙だと思います。
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by yururitositarou | 2006-02-06 20:04 |
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