「女教皇ヨハンナ」ドナ・W・クロス著 読みました。
時は9世紀、実際にいたのかいなかったのか?女人禁制のバチカンのそれも教皇にまでなった女の人の話です。バチカンでは現在もタブーだとか・・・ 歴史小説としても面白いし、普通の成功物語として読んでも面白いです。 「チャングムの誓い」じゃないですが、女の子の時代から次から次へと災難が襲ってきてはそれを乗り越えていく話なので、最後まで飽きずに読めます。 キリスト教の閉鎖的で古い因習に凝り固まった面が強調されて描かれております。 父親や司教等々表面は偉そうにしている嫌味な人々が沢山出てきます。 それら嫌味な人間の妨害を乗り越えて最後には教皇という頂点まで上り詰めます。 それも、最後まで一部の人を除いては彼女を女性ということは知らないで、男を装い隠し通します。 その分、教皇になる時点は読んでいて感動します。 主人公が女性なので歴史小説ですが、相手役としてカッコイイ男の騎士が出てきます。 最後までこの騎士はヨハンナを見守り助け、そして・・・ 最後は悲惨です。それも女性であるがゆえにこのような悲惨な事に! でも、これでよかったのではないかとも取れるような終わり方です。 悲しいけれど後味は悪くない。 過去にもこの女教皇ヨハンナは本や映画として描かれてきたそうですが、どちらかというといいイメージで描かれていないそうです。 それは、教皇位にある間というのに愛人の子を身籠ったという事かもしれませんが、これは確かにイメージ的によく描くという方が難しいかもしれません。 しかし、この本はそんなことも感じさせず主人公を応援し続け最後まで魅力ある女性として描ききっております。 娯楽小説として読んでも充分楽しめる内容で、あえて難点をつけるとすれば、作者が女性だからか、ヨハンナと彼女を見守る騎士ゲロルトとの恋模様がロマンチックすぎて宝塚の演劇を観ているようになってしまう点です。それはそれで悪くはなく、それも物語を面白くしている要素のひとつでもあるのですが、どうも読んでいてその点が妙に気になってしまいました。 それともうひとつの難点は単行本でそれも上下巻二冊で約4000円もかかってしまう点です。 全体的には、西暦800年代のヨーロッパの状況や暮らしぶりなどもわかりやすく描かれており、映画化になるだけあって娯楽面でも充分楽しめる内容です。
by yururitositarou
| 2006-04-09 03:15
| 本
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