名作映画「安城家の舞踏会」観てきました。
東京の京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターで「シナリオ作家 新藤兼人」という特集上映が4月4日から5月28日まで開催されることとなり、ちょうど見たかった「安城家の舞踏会」が初日だったので観にいきました。 一般500円です!安い! 初日なので舞台挨拶で新藤兼人氏が挨拶に現れました。 93歳ということで足腰は弱ってそうですが自らの足で歩いてお話も笑わせるところは笑わせて長くならずに上手くまとめるところは流石です。 見ていて失礼ですが、かわいいおじいちゃんという印象でした。 愛妻の”オトワさん”いなくなりずいぶんとたちますが、これからもまだまだ、元気でいてほしいです。 しかし、私自身新藤兼人監督作品はほとんど見ていないということに気づいて、映画好きなのに恥ずかしく感じるとともに氏について語ることはあんまりできないと思います。 で、映画「安城家の舞踏会」ですが、監督は吉村公三郎で、有名どころでは原節子、森雅之などの往年の日本映画のスターが出ております。 戦後日本の伯爵家が舞台で家の中と庭先のみで話は展開します。 伯爵家という爵位が取り上げられ、家も没収される事になった安城家の主人と娘二人に息子一人の一家が最後に舞踏会を開きます。その一夜の出来事が様々な人間模様を絡ませて優雅に描かれます。 滅び行く華族と最後の舞踏会という点でビスコンティーの「山猫」のような感じです。でも、制作年は1947年で「山猫」よりもずっと古い作品です。 今見るとよくある話ではと思われるかもしれないですが、逆にこのあたりの映画が元祖的存在なのかもしれません。 日本映画なのに豪華なイメージがあります。確かに「山猫」などと比べるとスケール面では劣りますが話は上手く凝縮されて、全く飽きる事がありません。 白黒映画独特の美しさを堪能できます。 特に野外のシーン。 庭先のテラスはバックに舞踏会が開かれている伯爵の館(たぶん絵だとおもいます)があり、セットだと思いますが、涼やかな風を感じる美しさです。 それと温室や浜辺など白黒映画独自の幻想的美しさを充分堪能でき気持ちいいです。 なぜかだいぶ昔に見た古い名作映画で、ルノワール監督の「ゲームの規則」を思い出しました。話の内容は違いますが、館を舞台に一夜の模様を描いている点やその館の庭先が時折出てくる点などから似ているように感じたのかもしれないです。 無駄がなく、登場人物の個性もはっきりしており、(森雅之のプレイボーイぶりや32歳の殿山泰司の召使役、逢初夢子(知りませんでした)のお嬢様ぶり、清水将夫の嫌味な役などいいです。伯爵役の瀧澤修もはまってました。原節子は主役ですが性格がつかみづらかったです。)飽きずに見ることができます。 今見ても充分楽しめる内容ですし映画好きは見ておくべき作品であるとつくづく感じました。 また、他の吉村公三郎作品も観てみたくなりました。 最後に1989年発行の文春文庫「日本映画ベスト150」に34位で掲載されていたので、そのページを掲載しておきます。
by yururitositarou
| 2006-04-09 04:43
| 映画
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