映画「クラッシュ」
観て来ました。 マット・ディロンちょっと太ったけれど悪と善の複雑に絡み合った性格を上手く表現して、凄かったです。 いろんな人種がひとつの街を舞台に複雑に絡み合い悲劇、感動劇が展開されます。 映画「有頂天ホテル」は見逃しましたが、多分同じような感じかなぁと推測。 スパニッシュ系の親子のエピソードは一番感動です。 お父さんが夜仕事から帰ると幼い娘が遠くでピストルの音がしたから恐がっておりました。 お父さんは自分が着ていた目に見えない魔法の防御服を脱いで娘に着せてあげます。 今度は君が大人になって子供が何歳かに達したら着せてあげるんだよ。 あるときお父さんは、アラブ系の(この家族もエピソードがあります)男に見当違いで恨まれ ピストルで撃たれそうになります。 それを見ていた娘は「私がお父さんを守らなければ」と飛び出してお父さんの前に飛んで行きます。 その時、ピストルが放たれて・・・ お父さんの泣き叫ぶ顔 茫然とする撃った男 しかし・・・ マット・ディロンの役は警察官で人種差別主義者です。 しかし、家では病に苦しむ父親を献身的に見ております。 ある時、黒人夫婦が乗った高級車が気に食わないので無理やり止め、奥さんに対し何か凶器を持ってないか調べるといって、下半身の中まで調べます。 この黒人夫婦もエピソードがあり、この事をきっかけに夫婦の間に溝ができてしまいます。 なんで助けなかったのか、あそこで抵抗したら今まで築き上げた地位や名誉が剥奪される等々どちらにも言い分があります。 警察内部も人種差別が横行してます。 マット・ディロンの部下に白人でそれに疑問を持つ若者がおりますが、警察組織内ではそんな考えを持っていたら、使い物にならなく、馬鹿にされます。 その組織内では人種差別しないとやっていけないのです。 下手に正義感で反対を唱えても避けられ仲間に入れてもらえない雰囲気漂ってますので、表立ってはしゃべりません。 部署代えしたいと申し出る時は、あからさまに人種差別する上司がいやだからとは通用しないので、腸の病気がひどいからといって変わります。 その代わり組織内では彼が交信で話すと相手はオナラの音を発して馬鹿にします。署内の笑いものになるしかないのです。 しかし、マット・ディロンは先程屈辱を与えた黒人女性が車で事故を起こしている現場に到着し命をかけて救出します。感動します。 複雑です。 簡単にいい奴、悪い奴と言う事を決められない。 人間にはいい面もあるし悪い面もある。 悪い奴がいいことをしたり、善人が殺人を犯してしまったり。 そんなエピソードが多数あちらこちらで絡み合っていきます。 人生って恐いなとも思いますし、 アメリカって住むのが命がけなんだなとも思います。 イチローや松井なども表向きはみんな優しくしているのでしょうが、裏ではどんな目で見られて生活しているのか・・・ 大リーグも観客に黒人がほとんどいないのは気になりますし、日本人が見にいって無警戒に楽しんでいるのもこの映画を観ると大丈夫かな?なんて思ったりして。 裏で、多数のアメリカ人が警戒心も無く、金持ちで、アメリカ通を気取っている日本人をみて生意気なイエローモンキーめとハラワタ煮えくり返りながら笑顔で接しているんじゃないかと思ったりして・・・鈍い日本人はそれに気付かず、いい奴ばかりだ、マイフレンドなんて一方的に思ってたりして・・・ でも、私も一人で外国行ったとき外国人(白人含む)に優しくしてもらったりもしているので・・・ そう、世界のどこでもいい人いるし悪い人いるし、いい人が悪人に変わる事もあるし悪い人も裏に事情があったりするかもしれないし。 とこんな事は当たり前のわかりきった事なので、そんなことを書くのは幼稚に思われますが、そんな、当たり前の事を改めて考えさせてくれた点でフレッシュな気分になれました。 そんなことがすごくわかりやすく描かれております。 と色々考えさせてくれる映画ですが、エンターテインメントとして観てもエピソード満載で飽きさせない作りで、全く関係の無い人々が絡み合っていく様の脚本は凄いです。 観終わった後は悲しい気分もありますが、救いがあり爽やかな気分の方が強かったような気がいたしました。 流石、アカデミー作品賞受賞作だけあって、奥が深くいい映画です。
by yururitositarou
| 2006-04-23 06:03
| 映画
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